2011-11

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“Q”

どうしてこうも“Q”は嫌われるのか…

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“Q”はミスチルのファンならご存じのとおり、Mr.Childrenの9番目のアルバム(スタジオアルバムでは8枚目)である。
98年の活動再開から、「深海」以来続いていた具体的な心情吐露を極力抑え、サウンドやグルーブに重きを置くようになったミスチルが、ここまで来るかというまで自由になってみせた画期的な作品である。
前作「DISCOVERY」は、今までにないロックなアルバムとなりそれまでの彼らとは一線を画すものであったが、社会批判を含んだ歌詞やネガティヴな雰囲気を持ったメロディはやはり活動休止以前のそれを受け継いでいたし、初めて「DISCOVERY」を聴いたときも、桜井に何の変化があったのか、そこまで感じ取ることはできなかった。
要するに、「DISCOVERY」は他と比べて、ギター・バンドサウンドに特化したアルバムであって、桜井が描いた歌詞の世界観にはほとんど変化がなく(『終わりなき旅』という前向きな歌もあるが)、とてもニューMr.Childrenを代弁するアルバムとは言い難いものであったのだ。

だがこの“Q”は、ロック・ポップスを基盤として、ジャズやカントリー、ブルースといった様々なジャンルの音楽の要素が取り入れられ、桜井の歌詞も抽象度を増した非常に革新的なアルバムなのである。

たとえば1曲目「CENTER OF UNIVERSE」は途中からテンポアップする今までにないタイプの曲で、ギターも歪んだアルペジオから有機的な音質のグリッサンド、リヴァース・エフェクトまでバラエティに飛んだ芸当を見せる。音数は非常に多く、曲の雰囲気を作るのに十分な役割を果たしている。また、サビの歌詞

イライラしてんなら愛を補充
君へと向かう恋の火が燃ゆる
向かいの家の柴犬にも「ハイ ボンジュール」


というかなり抽象的な歌詞は印象的。

今作において、何が他のアルバムと大きく違うのかというと、全体的に前向きであることだ。上に挙げた歌詞においても、心情吐露を最優先していた「深海」期のミスチルにはなかった抽象的で前向きな表現は評価すべきである。他を挙げると、

さぁ 簡単にクリアしよう
そうさ十人十色
捜してたものの
その向こうへ行こう

(「その向こうへ行こう」)

3.2.1.0.で 今こそ打ち上げよう 僕らの
oh oh oh oh 夢

(「Everything is made from a dream」)

といった例もある。
その自由度の高いリリックからは、かつてあった重々しさや堅苦しさを感じない。今作によって、ミスチルは大ブレイク時代以来続いていた自我(=【es】)の提示から完全に脱却したといえるだろう。それによって、彼らは自由な音楽性を手にした。
桜井の表現の仕方が変化したと共に、メロディにも変化があらわれた。刺々しく攻撃的なサウンドの多かった前作・前前作から打って変わって、丸みを帯びた歌もの向けのサウンドに変化した。今後「It's a wonderful world」から現在まで続くポップスサウンドの原型になっているという点では、彼らの歴史においてターニング・ポイントとなるべき作品であるが、皮肉にも今作はオリコンの連続1位記録を逃しており(その時の1位は浜崎あゆみのアルバムだった)、知名度は低いものと思われる。

多くの人に「ミスチルは暗い」とか「ポップスばかり」と言われるが、この“Q”には「12月のセントラルパークブルース」や「Surrender」といった明暗のハッキリ分かれる作品がバランスよく配置されているし、あるいは「スロースターター」という力強いロックソングもあれば「安らげる場所」という優しいバラードもある。初期が好きなら「口笛」がピッタリだろう。ミスチルでここまでバランスのとれたアルバムも珍しいのである。

このアルバムがミスチルの全歴史の中でもぶっ飛んだアルバムであるという定説が定着しつつあるが、むしろミスチルの中でも一番聴く者を選ばない大衆向けアルバムなのではないか?とも思えるのだ。統一感こそないものの、自由さでいえばどのアルバムをも凌駕しているではないか。Mr.Childrenのアーティストとしての魂を感じるアルバムとして、改めて評価し重要視するべきだと思う。


「Q」
1. CENTER OF UNIVERSE
2. その向こうへ行こう
3. NOT FOUND
4. スロースターター
5. Surrender
6. つよがり
7. 十二月のセントラルパークブルース
8. 友とコーヒーと嘘と胃袋
9. ロードムービー
10. Everything is made from a dream
11. 口笛
12. Hallelujah
13. 安らげる場所
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プロフィール

ken8mochi

Author:ken8mochi
こんにちは もち です。

生まれ:愛媛県(最近知った)
育ち:愛媛県
高校生。
生年月日:1993年4月11日。

少々生意気ですが、Mr.Childrenを中心とした音楽のレビューなどをやっています。
オリコンチャートを長らく見てきて、いろんな音楽を聴いてきたので、J-POPについての話題なら任せてください。

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